ピロリ菌の除菌治療・検査|“胃がん原因菌”を専門医としっかり治療

ピロリ菌の除菌治療・検査

 当院では駅前、街なかのクリニックでありながら、消化器内科のクリニックとして、ピロリ菌の検査・治療・ご相談を積極的に行っています。
 健診でピロリ菌感染を指摘された方、ご家族にピロリ菌感染や胃癌がいる方、またご興味のある方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

※ピロリ菌専門外来は月曜、火曜、木曜、土曜日の岩畔 慶太医師が専門で診察を行います

※より詳しくピロリ菌について調べたい方は、「日本ヘリコバクター学会」のホームページをご覧下さい。

 

ピロリ菌ってなに?

 正式名称をヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)といいます。良くテレビやネットなどで耳にする可愛い名前ではありますが、ひとことで言うと「胃がんの原因となるバイキン!!」です。一度感染してしまうと、胃の粘膜で長年住み続ける、らせん状の形をした細菌で、ウレアーゼという酵素を使って、胃酸を中和し胃酸の強い過酷な環境でも、胃の中で定住できる珍しい、そして厄介な特技を持っています。「べん毛」というヒゲのような物を持っていて、素早く回転させ胃の粘膜を自由に動き回ることができます。全世界では半数以上が感染し、日本でも年齢とともにピロリ菌を持っている人が増え、40歳以上では約70%の感染率、感染者は3500万人と言われています。ほとんどのピロリ菌感染者の方は、自覚症状がないまま暮らすことができ、健診などを利用しないと、なかなか気が付くことは少ないです。

 ピロリ菌は1983年にオーストリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより発見されました。3×0.5μmの大きさのらせん状をした細菌で、5~8本のしっぽがあります。このしっぽを、ヘリコプターのように回転させて移動し(Helicobacter)、胃の底の部分の前庭部(Pyloric)に生息することから、ヘリコバクター・ピロリと名づけられました。

どうしてピロリ菌に感染するの?

ピロリ菌に、私達が感染してしまう経路は大きく2つです。

①両親など近親者にピロリ感染があり、幼い頃離乳食などの口移しで食事を食べていた

②幼い頃を中心に、井戸水などの水道水ではない非浄水の水で生活していた

いずれも幼少期(5~6歳まで)に感染しやすいのがポイントです。ですから、幼少期のあいだに、いかにピロリ菌に感染しないような生活するか、が大切です。

 以前は、日本では上下水道が整備されていなかった時代もあり、40歳以上では約70%以上が感染しています。ピロリ菌の感染率は、衛生環境が以前に比べると改善していることから、日本でも世界的にも減少傾向です。成人になってからの新規感染は比較的少なく、キスなどの唾液感染も少ないと思います。食べ物が原因となることは、ほとんどありません。

ピロリ菌はどんな悪さをするの?、どんな症状が出るの?

ピロリ菌はどんな悪さをするの?

 ピロリ菌が胃に感染していると、慢性的に胃の粘膜が炎症を起こし、次第に胃粘膜が薄くなっていきます。そのような状態を「慢性胃炎」もしくは「萎縮性胃炎」と呼び、胃の粘膜は年齢より進行して老化現象を起こすことから、胃酸の分泌が減少していき、消化不良や胃の不快感などの症状が出現するようになります。

 一度ピロリ菌に感染すると、年齢とともに胃粘膜の萎縮(胃の老化)が次第に進んでいき、強い胃粘膜の炎症が持続することで胃がんの発生リスクがより高くなることがわかっています。

 一般的には腹痛、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、胃の不快感などがありますが、どちらか言えば稀で、ほとんどの方は時々、胃痛のトラブルで悩むケースが多いくらいです。普段の外来では「昔から胃弱体質ではありませんか?」と、質問をさせて頂くと、「そういえば胃の調子は普段からあまり良くないかも」とお答え頂くことが多いです。逆に注意が必要なのが、「胃の調子は良い、症状はないから」といっても密かにピロリ菌に感染している可能性もあるのです。

 ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんの原因となるワケ(理由)は、ピロリ菌がべん毛を使って移動する時、胃の粘膜をドリルのように回転して進むため、傷つけてしまうためです。

ピロリ菌に感染しているのかを調べるには?

感染しているのかを調べるには?

 ピロリ菌は胃がんの最大の原因ですが、胃潰瘍、胃炎、十二指腸炎、十二指腸潰瘍、鉄欠乏性貧血の原因にもなります。幼少期に感染すると、ほとんど自覚症状が出ない方も大勢います。

ピロリ菌に感染しているかどうかチェックするには、胃カメラを使用する検査と使用しない検査があります。

■胃カメラを使用する検査

・迅速ウレアーゼ試験:内視鏡を使い、組織を一部取り出します。ピロリ菌の持っているウレアーゼという尿素を分解する酵素の活性を利用して調べます。

・鏡検法:胃粘膜の組織標本に特殊な染色をしてピロリ菌を顕微鏡で直接見て探します。

・培養法:胃粘膜を採取し、それを5~7日培養して判定します。

■胃カメラを使用しない検査

・血清ピロリ菌抗体検査:人は菌に感染すると、体内に「抗体」を作り出します。ピロリ菌に感染した時にも「抗体」が作られので、この抗体の有無を調べることで感染を測定します。

・尿素呼気試験:容器に息を吹き込んで呼気を調べる方法です。特殊な尿素製剤である試験薬を服用し、服用前後の呼気を集めて診断します。ピロリ菌の持つウレアーゼにより、尿素が二酸化炭素とアンモニアに分解されますが、その時に発生した炭酸ガスが呼気中にどの程度含まれているかにより判定する方法です。

・便中ピロリ菌抗原法:糞便中のピロリ菌の抗原の有無を調べる方法です。現時点で感染しているかの確認が出来ます。この検査も身体への負担はございませんので、小児での検査も可能です。

 当院では採血、または便検査を主に使用して確認をしています。ピロリ菌の検査は1つでは偽陰性の場合があり、疑わしい時には複数の検査法を行って診断をします。

ピロリ菌の治療

ピロリ菌の治療

 日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する胃癌を中心とした疾患の治療および予防になるため、ピロリ菌感染者はすべて除菌療法を受けることが強く薦められています。ピロリ菌に感染している場合には、抗生物質を2つ含めた3種類の薬を1日2回1週間内服して治療を行います。当院では最新のお薬を処方していますので、1回目で除菌できる方は概ね90%前後ですが、うまく除菌出来なかった場合には、薬の内容を変更して2回目の除菌療法を行います。さらに稀ですが、3回目、4回目とお薬を内服しないと除菌ができない方もいます。喫煙のある方は、投薬内容が異なることがあります。

 治療中の注意点は幾つかありますが、除菌薬を内服中はアルコール飲酒はお控え頂いています。1週間ですが、しっかりと内服治療を取り組むことで除菌率があがります。自分の判断で服用を中止すると、除菌に失敗して治療薬に耐性をもったピロリ菌に変化してしまう可能性があります。治療の費用は、保険診療を用いて3割負担の方で、概ね6,000円ほどです。

 「病気、がんは予防していく」という新時代を迎えました。ピロリ菌を放っておくことなく、駆除することで将来、胃がんになるリスクを下げることが出来ます。ピロリ菌の感染の確認には、保険診療では胃カメラ、バリウム検査を受けた方が対象となりますが、検査を受けた方でご心配な方は、ぜひ当院にご相談ください。

ピロリ菌に感染すると、胃のなかはどうなっていくの?

 萎縮性胃炎の胃カメラ写真です。萎縮すると厚かった胃の粘膜が長年の炎症で薄くなり、赤く長い血管の模様が透けて見えることが確認できます。

 実際に胃カメラで胃の観察を行うことで、胃粘膜に萎縮があるのか、萎縮があればその程度を確認します。

ピロリ菌の感染によって慢性的に感染が続くと、萎縮がさらに進行すると、胃粘膜が腸の粘膜に置き換わる「腸上皮化生」という状態になってしまいます。この状態になるとピロリ菌が生息できないほど胃粘膜の荒れた状態となっているので、ピロリ菌が自然消失していることがあります。このような腸上皮化生の状態となっている場合には、血中のヘリコバクター・ピロリ抗体が陰性となり「ピロリ菌陰性」と判定されることがありますが、実は最も胃がんが発生するリスクが高い状態ですので、判定結果に注意が必要です。

ピロリ菌の治療が終わったら、胃カメラは卒業できるの?

ピロリ菌の治療が終わったら、胃カメラは卒業できるの?

 答えは「毎年必ず胃カメラをお受けください」です。耳の痛み話ではありますうが、ピロリ菌の除菌を行うと、胃癌のリスクは半分程度に減少しますし、ピロリ菌の再発(再感染)は低いと言われています。しかし、除菌成功しても一定のリスクは、非感染者と比較すると高い状態が続きます

 「ピロリ菌が消えたのだから、今後胃がんにはならないだろう」といった勘違いからその後の定期的な内視鏡検査を受けなくなってしまうことがあります。確かに除菌が成功すると胃がんの発生リスクは5割程低下しますが、全くのゼロにはなりません。

 除菌が成功すると胃粘膜萎縮や胃炎の活動性の改善がみられることもありますが、除菌した時の年齢が高齢であればあるほど、胃粘膜の萎縮(老化)がずっと残ることが多いとされています。胃がん発生の直接的な原因はピロリ菌の有無ではなく、ピロリ菌による炎症による萎縮性変化と遺伝子変異の度合いになりますので、ピロリ菌除菌が成功した方こそ、定期的な胃内視鏡検査を受けてしっかりと胃がんの早期発見に努めるべきだと思われます。除菌が成功したことで胃がんのリスクがなくなったと誤解をされ、以後の内視鏡検査を受けなくなることはとても怖いことなのです。

 現代の医療は進歩しており、胃がんは除菌治療によりリスクを低下させることができる時代です。そして、内視鏡技術の向上により早期の段階での胃がんの発見が可能となってきました。ピロリ菌検査と内視鏡検査を上手に活用して、「胃がんを早期発見・早期治療し、胃がんで亡くならない」ように心がけていきましょう。

 以前に比べ、胃カメラ検査をできる機会は格段に増えました。目黒区でも「目黒区胃がん検診」として、50歳以上の方は無料で胃カメラをすることが出来ます。ぜひ活用してください。

※当院では24時間、専用Webページから内視鏡検査のご予約が出来ます。「寝たままの胃カメラ検査を受けてみたい」と思われたら、すぐにご予約が可能です。

※当院の鎮静剤を使用した無痛胃カメラ(上部内視鏡)の詳しい説明もぜひご覧下さい。

 

ピロリ菌に感染しないように予防はできるの?

 感染を予防する方法はよくわかっていませんが、人体実験により口から感染することは確認されていますので、親から子への食べ物の口移しには注意が必要です。また、発展途上国へ旅行に行ったり、生活する際には非衛生的な水や食べ物に細心の注意を払い、できるだけ口にしないほうが感染のリスクは減るでしょう。現在の日本の衛生環境で、こと水道状況から、大人が除菌後再感染する可能性は極めて低く、ほぼ無視できるレベルで心配することはありません。

ピロリ菌に関するよくある質問

健診でピロリ菌がいると言われました。どうすれば良いですか?

ピロリ菌陽性の場合には、まず胃の状態がどうなっているか、の確認が必要です。胃カメラの検査が終わっている場合には、胃炎の程度や胃癌の有無が確認済ですので、ピロリ菌除菌療法を始めるます。一方で健診などでピロリ菌陽性のみ分かっていても、胃カメラを実施していない場合には、まずは胃炎の程度や胃癌の有無の確認のため、胃カメラは必須です。また胃バリウム検査を実施している場合にも、胃癌の有無確認のために胃カメラ検査は強くお薦めしています。一度、医師にご相談ください。

除菌療法の副作用はありますか?

これまでに除菌療法の主な副作用としては、①軟便・下痢、②味覚が少し変わる(内服中のみ)、③肝機能障害、④薬疹(薬による皮膚アレルギー)などが代表的です。症状が軽い場合には、自分の判断で内服の中止や回数を減らさずに最後まで(7日間)飲み続けてください。ただし、症状がひどくなった場合には、医師にご相談ください。

除菌療法が終了した後に生じる問題点は何かありますか?

ピロリ菌の除菌が成功した患者さんのうち、少数の方に逆流性食道炎が報告されています。これは、ピロリ菌の除菌によって、低下した胃酸の分泌が正常に戻ったために一時的に起こると考えられます。しかし、逆流性食道炎は原則は良性の病気であり、一方でピロリ菌の未除菌、未治療は胃癌のリスクを増加させることから、原則はピロリ菌の除菌をお薦めしています。

両親がピロリ菌感染症のエピソードがあります。何歳頃に感染しているかを確認するべきですか?

両親のいずれかがピロリ菌感染のエピソードがあると、確かにお子様も感染している可能性があります。しかし、ピロリ菌の除菌療法は抗生物質を1週間にわたり2種類内服する必要があり、また胃カメラ検査もピロリ菌に感染しているかの確認で必須なことから、概ね18歳以上くらいから検査することをお薦めしています。

血液検査でピロリ菌抗体陰性だったのに、便中ピロリ菌検査や内視鏡中のウレアーゼ迅速検査で、ピロリ菌陽性と言われました。どういうことですか?

とても良くあるご質問です。他の感染症採血でも同様ですが、血液の抗体検査は、稀に感染していても、患者さん自身の抗体がうまく産生されたなかった場合などは、ピロリ菌抗体が陰性になることがあります。しかし、便中ピロリ菌検査や内視鏡中のウレアーゼ迅速検査は、「ピロリ菌が現状で感染している」証の検査であることから、検査で陽性だった場合には感染していると判断します。

ピロリ菌除菌が成功した、と言われたのに、健診で血清ピロリ菌抗体がまた陽性になりました。どうしてですか?

これも、とても良くあるご質問です。ピロリ菌の除菌が成功しても、一度ピロリ菌に感染すると、しばらくのあいだ抗体価は名残のように身体で産生されることから、陽性になり続けてしまいます。ですから、検査自体を受けても判断基準にはなりません。

ピロリ菌の除菌が成功しても、再感染する可能性はありますか?

再感染率は通常は数%程度ですので、とても珍しいです。しかし、再陽性例の多くは、実は除菌後にピロリ菌除菌が不成功で、一時的に菌量が低下し、成功していないにも関わらず「陰性」と判定され(偽陰性といいます)、その後、菌量が回復してきたために、検査をしてみると「陽性」になったものと考えられています。

ピロリ菌2次除菌薬を内服しましたが、不成功でした。3次除菌はどうすれば良いですか?

以前まで抗生物質が多様に使用されてきたことから、ピロリ菌も抗生物質の耐性化が進んでおり、当院でも2次除菌療法不成功となる場合があります。その場合には、自費診療となりますが、当院でも3次除菌療法を実施しています。費用としては15,000円程かかりますが、一度医師にご相談ください。

初診から何回くらい通院が必要ですか?

初診から合計3回ご来院頂くことが多いです。①初診で問診、感染状況などを確認してピロリ菌除菌療法をお渡しする、②除菌薬内服2ヶ月以降で便中ピロリ菌抗原キットを提出するため来院、③除菌判定の結果説明のため来院、となります。1次除菌療法が不成功な場合には再度、別の処方内容で2次除菌療法を行うため同じステップをもう一度行う必要があります。 当院は学芸大学駅前1分の好立地で夜間診療、週末診療も行っており、ピロリ菌除菌療法の際にもとても便利です。目黒区、世田谷区エリアにお住まいの方はもちろん、渋谷、代官山、恵比寿、中目黒、都立大学、自由が丘、柿の木坂、下馬、碑文谷いずれからもご来院頂けます。

診療時間表
09:00~13:00
15:00~20:00
(土日15:00~18:00)

※受付終了時間は、診察終了時間の15分前です。

受付時間 [午前の診察] 8:45~12:45
[午後の診察] 14:45~19:45(土日は~17:45)
休診日 祝日のみ(変更時には当院のSNSでご連絡します)

…岩畔慶太 …岩畔彪 …非常勤医師

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