過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは

腹痛を感じて下痢や便秘を繰り返す、または下痢と便秘を交互に繰り返す、膨満感などの腹部の不快な症状が続きますが、検査を受けても、炎症や潰瘍といった器質的な問題が見つからないといった場合は、過敏性腸症候群(IBS)が疑われます。
以前は、神経性の腸炎とされていましたが、近年の研究によって、機能性ディスペプシアと同様、腸のぜん動運動、知覚の異常など腸の機能に問題があって起こっていることが分かってきました。ストレスをきっかけとして悪化することも多く、トイレに関わることなので、放置すると生活の質(QOL)が大きく低下してしまいます。適切な治療さえすれば、以前の通りに回復できる疾患です。繰り返す下痢や便秘などの症状にお困りの方は、お早めの受診をお勧めします。

原因

はっきりとした原因は解明されていませんが、腸のぜん動運動の異常、腸の知覚過敏が起こるなど、機能的な障害により症状が起こっていることが分かってきています。また、ストレスなどの心因的な問題も大きく関わっていることが判明してきました。

ストレス

腸は脳と密接に関係して働いています。その間をとりもつのが自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があり、ストレスなどでこの2つの働きのバランスが崩れることによって、腸の働きが昂進しすぎたり、低下し過ぎたりすることになります。

腸の過剰な運動または低下

食べた食物は、消化管のぜん動運動によって、肛門方向へと移動していきます。何らかの理由でこの機能が異常に昂進すると、大腸で水分が十分吸収されず下痢となります。また異常に低下すると大腸内に便が停滞して水分が吸収されすぎて便秘となります。

腸の知覚過敏

何らかの理由で、消化に関わるホルモンや腸内フローラが変化すると、腸が知覚過敏状態となります。それにより、少しの刺激で腸が過剰に反応し様々な症状が起こります。

症状

過敏性腸症候群は、大きく「下痢型」「便秘型」「混合型」「分類不能型」の4つに分けることができます。どの型も便通によって症状が改善することが特徴です。またいずれも睡眠中は症状が起こりません。症状は強い不安や緊張などがきっかけになって起こることもあります。

下痢型

突然、強い腹痛があり、下痢となります。排便するといったん症状が治まりますが、週のうちに何度もこうした症状を繰り返すことがあります。何かイベントの始まる前や、通勤・通学時などによく起こります。男性に多いことが特徴です。

便秘型

腹痛を伴う便秘が続き、腹部の不快感も伴っています。トイレでいきんでもウサギの糞のようなコロコロした小さな便が出る程度です。排便後も出し切れていない感じが残り、腹痛が続くこともあります。女性に多いことが特徴です。

混合型

腹痛と共に下痢や便秘を交互に繰り返します。多くの場合、腹部に不快感を伴います。

分類不能型

お腹が張った感じ、お腹が鳴る、おならが多いなどの症状が続きます。この場合も大腸カメラ検査などを行っても器質的な異常はありません。

診断

大腸カメラ過敏性腸症候群の診断は、腸に器質的な異常がないかどうか、その他の疾患から来る症状ではないかという除外診断が大切です。そのため、血液検査、腹部エコー検査、大腸カメラ検査などで一つ一つ、原因疾患の可能性を潰していきます。
その上で、過敏性腸症候群の国際的な診断基準であるRome III基準にのっとって診断を行います。この基準は
  • 直近の3か月の間で月に3日以上にお腹の痛みや不快感が繰り返し起こっていることに加えて
  • 次の1.~3.のうち2項目以上が当てはまることで、診断できます。
    1. 排便すると症状が治まる
    2. 排便の回数が症状によって増えたり減ったりする
    3. 便の形状(外観)が症状によって柔らかくなったり硬くなったりと変化する

当院では、最新式の高度な内視鏡システムを備え、日本消化器内視鏡学会が認定する内視鏡専門医の資格をもった医師が、迅速かつ正確な検査を行うことで患者様の苦痛を減らしております。また、鎮静剤を使ってうとうととした状態のまま検査を受けられる方法にも対応していますので、安心してご相談ください。

治療

薬物療法で症状を鎮め、食事習慣や生活習慣の改善を図り、再発を防止します。

薬物療法

下痢型、便秘型などの症状をそれぞれ改善するための薬を、患者様一人一人にきめ細かく合わせて処方します。
下痢型の場合、腸のぜん動運動を抑える薬、止瀉(止痢)薬などを処方します。また便秘型の場合は便を柔らかくする薬が有効です。
また、共通する薬としては、腹痛を抑える薬、腸の運動を整えるもの、腸内フローラを整える乳酸菌や酪酸菌の薬、便の水分バランスを整える薬や、その他では漢方薬なども処方します。
さらに、抗アレルギー薬や抗うつ薬なども併用すると有効な場合があります。
過敏性腸症候群の場合、薬物療法を始めてから効き始めるまでの期間が比較的長い傾向がありますが、諦めず、しっかりと服用を続けて治療しましょう。

生活習慣の改善

過敏性腸症候群では、薬物療法で少し時間はかかりますが、しっかりと快方へ向かっていきます。しかし、食生活を含めて以前のままの生活を続けていると、どうしても再発し続ける傾向があります。そのため、食事の改善を含めた生活習慣の改善のために、患者様それぞれにあわせた提案を行っていきます。

食事療法

まずは、1日3食を規則正しい時間に摂ることが大切です。その上で、嗜好品や脂っこい肉などに偏り過ぎず、バランスの良い食事を摂りましょう。
胃酸の分布は腸の調子にも大きく関わってきますので、胃酸を出しすぎるような、激辛の香辛料、アルコールの飲み過ぎ、コーヒーや炭酸飲料などは控えめにします。
また、毎日ある程度身体を動かし、生活を楽しむ工夫も大切です。ストレスは過敏性腸症候群の発症のトリガーでもあります。気持をリラックスさせてできる限りストレスをため込まないような自分なりの工夫が大切です。

診療時間表
09:00~13:00
15:00~20:00
(土日15:00~18:00)

※受付終了時間は、診察終了時間の15分前です。

受付時間 [午前の診察] 8:45~12:45
[午後の診察] 14:45~19:45(土日は~17:45)
休診日 祝日のみ(変更時には当院のSNSでご連絡します)

…岩畔慶太 …岩畔彪 …非常勤医師

クリニック情報

TOPへ