逆流性食道炎|胸やけ、口の苦味、げっぷはありませんか?

このような症状でお困りではありませんか?

  • 胸やけや呑酸(すっぱいげっぷ)がよくおこる
  • みぞおち(心窩部)が焼けるように痛む
  • 寝ていると、酸っぱいものが上がってきて目が覚めてしまう
  • 飲み込みにくい、のどがつかえる感じがある
  • 食事の途中に満腹になってしまう
  • お腹が張る
  • げっぷが多い
  • 風邪でもないのに、咳が続き、のどにひりひりとした違和感がある
このような症状が当てはまるようなら、逆流性食道炎(胃食道逆流症)が考えられます。胃酸に耐える仕組みがない食道の粘膜が、逆流した胃の内容物によって常に炎症を起こしている状態で、食道がんのリスクも高まります。早めに受診してしっかりと治療してください。

逆流性食道炎とは

逆食強力な酸を含む胃の内容物が食道の方向へと逆流しないための仕組みが、何らかの原因によって障害を起こし、胃の内容物が食道に流れ込んでしまうようになると胃食道逆流症(GERD)という状態になります。胃食道逆流症には次のような3つのタイプがあります。
  • 内視鏡検査によって食道の炎症を認め、不快な自覚症状がある
  • 内視鏡検査によって食道の炎症を認めるが、不快な自覚症状はない
  • 内視鏡検査による食道の炎症が認められないが、不快な食道部の自覚症状がある

このうち、内視鏡検査によって食道に炎症が起こっている状態が認められる場合、自覚症状の有無にかかわらず、逆流性食道炎と言います。症状があるのに内視鏡の所見が無いケースは非びらん性胃食道逆流症(NERD)と言います。

逆流性食道炎は、胃の粘膜のように強力な胃液から自らを保護する仕組みを持っていない食道の粘膜が、胃からの内容物にさらされて、炎症を起こし、粘膜表面がただれて薄くけずれる「びらん」を起こしたり、胸やけや呑酸、心窩部痛、咳といった症状が現れます。
近年、食生活の変化によって、刺激的な食物や脂質の高い食物などの摂取が増え、日本でも逆流性食道炎が増えてきました。胃から食道にかけての不快な症状が気になったら、お早めにご相談ください。

原因

胃には、強力な胃酸の混じった胃の内容物が食道方向へ逆流しないよう、噴門という弁があり、それを食道の下の方にある下部食道括約筋がしっかりと締めて、蓋をしています。食べた食物は、ぜん動運動によって食道から胃の方向へと運ばれて行きます。食物が噴門に近づいてくると、下部食道括約筋は緩み、噴門を開いて食物は胃へと入っていきます。そして食物が通過し終えると下部食道括約筋は再び噴門をしっかりと締め付けます。
この仕組みがどこかで障害され、食物が近づいていないのに下部食道括約筋が緩んだり、逆にお腹の方からの圧力が強すぎて無理に噴門が開いたりすることで、食道へ胃の内容物が逆流してしまいます。食道の粘膜は胃液の強い分解力に耐える仕組みをもっていませんので、この状態が続くと胃の内容物に混じった胃液に食道粘膜が侵され、徐々に様々な症状が起こってきます。炎症による症状はやがて、のどから気道などにも及び、やがて食道がんのリスクが高まってしまうことになります。
こうした障害は、従来は加齢によるぜん動運動の低下が主な原因とされていましたが、近年は食生活を含む生活スタイルの変化によって、脂肪分や刺激性の強い食物のために胃の機能が障害される、肥満や腹圧のかかる姿勢(パソコンにずっと前屈みで向かっているなど)、また締め付ける衣類、食道裂孔の緩みなどが逆流性食道炎を起こすきっかけとして考えられています。

検査・診断

逆流性食道炎が疑われる場合、問診と胃カメラ検査によって診断に導きます。

問診

まずは問診によって、症状や既往症、生活習慣などについてお聞きします。普段飲まれているお薬についてもお聞きしますので、お薬手帳または飲まれているお薬を全てお持ちください。

胃カメラ検査

胃カメラ検査を行って確定診断に導くことができます。食道粘膜の状態、噴門の状態などを観察し、食道粘膜に炎症性のびらん、潰瘍などがないかどうか、噴門に緩みが見られないかどうか、食道裂孔ヘルニアの可能性がないかなどについて確認します。
症状があって(または症状は感じていないが)食道粘膜に炎症性の病変が認められる場合は「逆流性食道炎」、症状があるのに食道粘膜に病変が認められない場合を「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」と分けています。

※当院の鎮静剤を使用した無痛胃カメラ(上部内視鏡)の詳しい説明もぜひご覧下さい。

治療

逆流性食道炎の症状は、胃酸の分泌を抑制する薬剤によって改善しやすいのですが、おおもとの原因となっている肥満や生活習慣などを整えなければ再発しやすい傾向にあり、生活習慣の改善も大切な治療の一環となります。

薬物療法

胸やけや胃痛などの症状を抑えるために、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)といったタイプの薬剤を処方します。

生活習慣の改善

消化の悪いもの、脂質の多いものなど、胃の中に長時間滞留しやすい食物、食べ過ぎ、飲み過ぎなどで胃酸の分泌が活発になりすぎることが考えられます。さらに、酸味の強いもの、激辛の香辛料なども影響があります。その他お酒の飲み過ぎ、喫煙などの嗜好習慣も問題になります。これらの食習慣や嗜好を変えていくことで悪化や再発を防いでいきます。
また、肥満、パソコンなどの作業時間が長く前屈みの姿勢が続く、激しく腹圧をかける力仕事やスポーツ、腹部を締め付ける衣服なども逆流の原因となりますので、患者様の生活様式をよくお聞きして、原因となっている生活習慣を特定し、改善指導を行います。

対処方法

逆流性食道炎の症状自体は、薬物療法によって比較的早期に改善していきます。しかし食生活やその他の生活習慣に起因している場合が多いため、いったんは症状が治まっても、服薬を止めるとすぐに再発をくりかえす傾向があります。
そのため、逆流性食道炎の症状を感じたら、できるだけ早く受診して原因となっている生活習慣を割り出し、改善していくとともに、薬物などで逆流による食道の炎症を抑えることが大切です。

食生活で気をつけること

逆流を起こしやすい飲食物としては、脂っこいもの、酸味の強いもの、刺激の強い香辛料、甘味、チョコレート、コーヒー、アルコールなど、胃酸の分泌を増やすものが挙げられます。これらの摂取をできるだけ控えましょう。
食後すぐに寝てしまうと、胃が休まず逆流を起こしやすくなります。少なくとも食後2時間以上経ってから就寝するようにしましょう。
また、喫煙も逆流のリスクを高めます。禁煙治療を行い、逆流性食道炎の症状改善が見られたという実験結果もあります。喫煙習慣はそれだけではなく様々な健康被害をもたらしますので、禁煙を強くお勧めします。

日常生活で気をつけること

生活習慣によって、腹圧が高くなってしまうことで、逆流性食道炎の発症リスクや症状の悪化リスクが高まります。とくに内蔵脂肪型の肥満は腹圧を高めるだけではなく、その他の疾患の発症リスクが高く近年問題になっています。まずは肥満の解消が大切です。
その他、パソコン作業などの座り仕事を続けていると、つい前屈みの猫背になりがちで、腹圧が高まってしまいます。ベルトや下着などで強く腹部を締め付ける服装も同様です。
眠っている時に、呑酸がある、咳が出やすいといった症状がある場合は、食事から睡眠までの時間間隔をあける、マットレスや枕などを調整し上半身を少し高くするか左を下にして眠ることで症状の改善に繋がることがあります。
逆流性食道炎を悪化させる生活習慣は人それぞれです。医師に生活習慣をしっかり伝え、自分にあった改善法を見つけていくようにしましょう。

食道裂孔ヘルニアに注意

胸郭と腹腔を隔てる薄い筋肉の膜である横隔膜は、呼吸を助ける役割をしています。食道がこの横隔膜を通過するための穴を食道裂孔と言います。この食道裂孔がなんらかの理由からゆるんでしまい、隙間ができることがあります。この隙間から胃の一部が飛び出してしまうことを食道裂孔ヘルニアと言います。
食道裂孔ヘルニアになっても、特に自覚症状が無い場合は治療の必要はないのですが、これによって逆流を起こしやすくなることがあります。食道裂孔ヘルニアによる逆流性食道炎は、なかなか治りにくく、長期的に薬物療法を続ける必要があります。症状としてはほとんど逆流性食道炎と同様ですが、悪化した場合食道閉塞や呼吸困難になってしまうこともありますので、注意して経過観察を行う必要があります。

診療時間表
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…岩畔慶太 …岩畔彪 …非常勤医師

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