皆さんに是非知って頂きたいこと “Take Home Message”
便潜血検査の結果で大切な理解は、
・「便潜血検査陽性=大腸癌」ではないこと
・「便潜血検査陰性=大腸癌ではない」でもないこと
あくまでも簡易的な検査!!、ということです。
便潜血検査について
便潜血検査は簡単・安価な検査で、大腸内から出血がないかを確認する検査で、最大の目的は、「大腸癌」の有無を調べる検診項目です。便潜血2日法では進行癌の約80~90%といわれ、当院でも区健診の項目として行っており、大腸癌の発見につながることがあります。
しかし、大腸ポリープ、早期の大腸癌で陽性になることは極めて少ないのが実情です。病変や腫瘍がある程度大きく成長し、便(うんち)と接触して出血するようになると、見つけることが出来ます。しかし、大きく成長した大腸癌は、内視鏡治療で完治することは難しく、病院にご紹介をして、外科手術や抗癌剤点滴での治療になってしまいます。その一方で、良性の大腸ポリープの段階や早期の大腸癌であれば、内視鏡検査中に切除して、完治することが出来ます。
健診結果を持参され、「便潜血陽性」のとき、多くの受診者さんが、「私は痔(じ)をもっているから」、「先日、食べ過ぎたから」など都合の良いほうへ考える方も少なくありません。しかし、仮に大腸癌があったとしたら、発見できるチャンスを得たことになります。
大腸癌は早く見つければ、かなりの確率で完治が望める病気です。
検査結果を他人事とは捉えず、陽性になった場合には、必ず大腸内視鏡検査を行い、早期発見につなげていきましょう。
当院では、便潜血の検査結果に関わらず、食事の欧米化や年々大腸癌が増加する現在、受診さんには、「40歳頃には症状がなくても1回大腸カメラ」をお薦めしています。
なぜ、検査をお薦めするかといえば、近年、大腸癌の患者数は増加しているからです。
最新の2018年のデータでは、男性では3位(8万6414人)、女性では2位(6万5840人)ですが、男女合わせると胃がんを抜いて1位になっています。また、部位別死亡数を最新の2020年のデータで見ると男性では2万7718人で3位、女性は2万4070人で1位、男女計では5万1788人が亡くなっています。
出典:厚生労働省「全国がん登録の概要」、厚生労働省「2020年人口動態統計(確定数)」
当院では、丁寧な内視鏡操作と鎮静剤を使うことで、苦痛に最大限配慮して内視鏡検査を実施しています。ぜひ、内視鏡検査のご相談をお待ちしています。