5回シリーズで内視鏡専門医の院長が素朴な疑問にお答えします。
第4回目は、「会社の検査で胃の検査にバリウムと胃カメラが選択出来るけど、どちらかが良いの?」 「バリウム検査、意味あるの?」という、よく受けるご質問の関することです。
私は外来で、「会社健診で選択出来るなら、胃カメラを選択してください。症状がある、心配なら、ぜひ当院で胃カメラをお受けください」と説明しています。
会社健診で多く行われる胃バリウム検査ですが、お受けになられたことがある方はイメージが沸くと思いますが、放射線を照射することで胃や食道の粘膜の凹凸を「影絵」として撮影して評価する検査です。以前は健診での主流の検査でしたが、時代とともに最近は胃カメラに取って交われる時代になっています。
一方の胃カメラですが、当院でも導入している最新鋭のハイビジョン画質の内視鏡検査では、NBIと呼ばれる特殊光を当てたりしながら、高精細の画質で直接、粘膜の状態を確認することが出来ます。そのため、逆流性食道炎や胃炎などの炎症性変化、胃ポリープを実際に画像として確認が出来るのはもちろん、極めて初期の胃がんや食道がんなど、粘膜の変化がまだ少ない段階でも早期発見をすることが可能です。
影絵の原理とした、胃バリウム検査だと、ある程度サイズ感が出てこないと、なかなか容易に発見することは出来ず、結果的に胃バリウム検査で発見された「胃がん」「食道がん」は進行した状態で見つかることが多く、かなりの確率で外科的手術や抗がん剤での治療になってしまいます。内視鏡専門医としては、内視鏡で治療できる「早期」のがんを見つけるためには、やはり胃バリウム検査では難しく、胃カメラ検査を行ったら(患者さんが受けられたから)発見できるものだと考えています。
ぜひ、1年に1回は症状がなくても、胃カメラ検査をお受けください。